ツバメのたからもの Vol.2

紫波のお酒にハマってしまった大学生

ふとした偶然でつながった縁から、
興味が一気に広がることもある。
この町ではそんな不思議なできごとが起きている。

紫波町出身・在住、岩手県立大学総合政策学部3年生の村松滉也(むらまつひろや)さんは、昨年、ご縁があり廣田酒造店で蔵人(くらびと)体験をしてきたそう。

今まで日本酒もあまり飲んだことがなく、日本酒の蔵が4つもあることや、南部杜氏の歴史や、現在も酒蔵それぞれに新たな取り組みがあることなど……紫波町出身でも、今まで意識したことがなかったという村松さん。蔵人体験をするまでには、ある人との出会いがありました。

写真右:村松さん

村松:僕は、紫波町・日詰で育ちました。山梨の短期大学に二年間通ったあと、昨年岩手県立大学に編入しました。もともと編入は考えていたものの、地元の岩手ならコロナ禍でも対面授業が受けられそうだと知ったことと、地元に戻って就職したいという気持ちもあったので、Uターンしてきたんです。

蔵人体験をすることになったきっかけは?

村松:2021年9月にご縁あって紫波町役場で5日間のインターンシップをしたのですが、そこで役場の酒担当(を自称する)須川さんと出会いました。インターン中はあまり話す機会は多くなかったのですが、僕の友人で「酒蔵で働きたい」という人がいて、彼を紹介するためにインターンが終了後にも役場に来たんです。そこで須川さんが廣田酒造店さんで週末にお手伝いしているということを聞きまして。

須川:一緒に酒蔵を見学しに行ったのですが、興味を持っているようだったので「一緒に手伝ってみる?」と誘いました(笑)。

はじめは須川さん一人で、週末のみの「蔵人体験」をしていた

村松: 僕はインターン中に役場でのお仕事に関わりながら、紫波町のことを全然知らないなと改めて実感したので、お酒が好き!という動機よりも、紫波町を知るいいきっかけになれば、と思って参加させていただくことにしたんです。

蔵人体験は、具体的に何を?

村松: 体験は週1回、1ヶ月半ほどだったのですが。“蔵の仕事は掃除に始まり、掃除に終わる”と教わり、自分の作業は掃除や洗い物が中心でした。例えばもろみが入る桶のビニールカバーを洗うとき、最初は60−70度くらいのお湯をかけて汚れを落としやすくして、スポンジでこすり洗いして水をかけるのですが、最後の水が本当に冷たくて。ゴム手袋をしても洗っているうちに水が入ってきたりして、洗い物も本当に大変だなと実感しました。

お米を蒸す準備や、蒸したお米を移す作業のお手伝いもしました。スコップで蒸し終わったお米をすくってベルトコンベアーにうつすんですが、お米が思っていたよりも重くて、汗をかきながらやりましたね。

写真左:村松さん

須川:週末の限られた時間のお手伝いでしたが、その時々で違う作業を体験させていただきながら、手作業の工程のひとつひとつや細かい機械の仕組みも見ることができて、お酒への興味がどんどん深くなっていくのが自分でも楽しくて。本当にありがたいです。

村松: 自分が仕込みを手伝ったお酒を特別に教えていただき購入したのですが、作業を体験すると、味が違いましたね!頑張った甲斐がありました。飲んだ時はスッキリした感じなのですが、しっかりとしたお米の旨味が詰まってるなと感じました。

須川: おおっ、味のコメントまでできるようになってる!でも本当にそうですね。自分で体験してみると、お酒への見方や向き合う姿勢が変わって、日本酒への愛が増していくのが自分でもわかります。だから美味しく飲めるし、体力勝負の力仕事ものあった日はいっそう、心地いい疲労感とともに美味しくなります(笑)。
村松くんはインターンのときはガチガチに緊張しているという印象だったけれど、蔵人体験をしてから、なんだか生き生きしてるように見えますね。経験値が一気に上がって、日本酒への愛が深まっているというか。蔵の人とつながったことで、日本酒を通じて、酒蔵と、地元・紫波町への思いや見方まで変わっているんですかね。

村松: ありがとうございます(照)。

今後やりたいことは?

村松: 旅が好きなので、コロナ禍が落ち着いたら、各地の酒蔵見学に行ってみたいです。廃校を仕込み蔵として再生した蔵など、本で読んで知ったところなど、興味深いところがたくさんありますね。卒業論文も、お酒とまちづくりにまつわるテーマにしようか検討しています。
はじめは友人を紹介するつもりだったのに、まさか自分がお酒の魅力にはまってしまうとは思いませんでした。自分でもびっくりですし、家族も驚いてますが、楽しかったらやったらいいんじゃないか、と応援してくれています。

須川: 今後町内で、酒好きのコミュニティの活動もしていくし、一緒によろしくね(笑)。

村松: ぼ、僕でよければ……!お酒を楽しむ若い人たちが、もっと増えていくといいですね。

きっかけは偶然でも、気がついたら“好き”になっていた。

“好き”からつながった出会いが、この町の新しい見方を教えてくれた。

廣田酒造店にて、村松滉也さん

話を聞いた人

・村松滉也(ムラマツヒロヤ)

紫波町出身、日詰在住。岩手県立大学総合政策学部。役場でのインターンシップをきっかけに日本酒にハマってしまう。

 

・須川翔太(スカワショウタ)

紫波町出身、在住。紫波町役場に勤務。酒好きが高じて唎酒師の資格を取得。
酒のことしか投稿しないinstagramもやっています。

Instagram: https://www.instagram.com/shota_sukawa/
Twitter: https://twitter.com/6_skin

 

記事を書いた人

・あまのさくや

絵はんこ作家・エッセイスト・紫波町地域おこし協力隊。
初のエッセイ本『32歳。いきなり介護がやってきた。』を刊行。

紫波移住日記note: https://note.com/sukimajikan