つばめのたからものvol.6

シニア起業までの道のりと、パン作りへの想い―もり森スマイル工房

​​紫波町には、自分が持つ
「好き!」「やりたい!」という気持ちを
原動力に活動をしている方々が沢山いる。

そんな方々の大切なたからものを
見せていただく気持ちでお話を伺うコーナー
【つばめのたからもの】。

男の子と女の子の可愛らしいイラストに、
「塩味」⇔「甘い」のチャート。

このシールに「見覚えがある!」とピンときた方も多いのではないでしょうか。
今回は、町内のご自宅兼工房でパンを製造し、産直等に出荷・販売している「もり森スマイル工房」さんにお邪魔しました。

代表の長森さん

60歳で定年退職後、2016年5月にパン作りで起業した長森さん。
起業しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

長森 人生100年時代と言われますが、退職しても身体は元気だし、もっと働きたいなと退職する5年くらい前から考えるようになりました。
では何をやろうかと考えたときに、まずは趣味と実益を兼ねているものがいいなと思いました。また、自分の強みである「モノづくりが好きなこと」、「粘り強い性格」の2つを活かせることがいいなと。そこでたどり着いたのがパン作りでした。パンは主食の一つで、景気に左右されにくく、まだまだ需要は伸びる見込みがあったことや、初期投資が他のものと比較してそれほど多くないこと、継続していくための体力的な面も考慮して決めました。

起業すると決めたとき、ご家族の反応はどうでしたか。

長森 積極的に応援してくれましたね。5年間もパンの試食に付き合ってもらいました。妻は自宅でピアノ教室を開いているので、個人事業主としては先輩です。教室の生徒さんに試食をお願いしてくれたり、パンを焼くオーブンのテストに秋田県へ足を運んだときも同行してくれたりしました。
娘夫婦には、お店のイメージキャラクター(男の子と女の子)を制作してもらったり、商品開発の際にアイディアをもらったりと、さまざまな支援をしてもらっています。とても感謝しています。
起業前はパン作りの技術をマスターすることはもちろん、どれくらいの規模で展開するのか、導入する設備は?販売先は?など、考えなければならないことがたくさんあって不安が大きかったので、とても支えになりました。
岩手県商工会連合会が主催している起業化研修の講師の先生や、一緒に研修に参加したメンバーとの出会いにも、「ひとりじゃないんだな」と励まされました。

(右:従業員としてパウンドケーキ作りをする娘さん
左:それを手伝う奥様)

店名の「もり森スマイル工房」の名前の由来はなんですか。

長森 長年農業関係の仕事をしていて、県内の農業関係者の方にお世話になったので、何らかのかたちで恩返しがしたいと考えていました。小麦粉をはじめ、できるだけ町内・県内・国内の農産物を使って商品化し、消費者と生産者の架け橋になれたらいいなという思いを込めて、生産者が「もりもり」元気で、消費者も「もりもり」笑顔に、自分自身も、元気で笑顔で成長していきたいという願いで名づけました。

工房に掲げられた経営理念
時計もパン型!

さまざまな種類のパンが産直に並んでいますが、商品開発はどのように行っていますか。

長森 これまでに全部で80種類ほど作ってきました。この中から日替わりで10種類ちょっと、約50個を1日に出荷しています。
他のパン屋さんや産直を視察したり、既存のパンの売れ行きからお客様のニーズを探って試行錯誤したりしました。甘めのパンが人気ですね。季節の旬の食材も使うようにしています。

奥から アプリコット&チーズ、チーズ&おさつパン
黄金色に輝くパンが食欲をかき立てます

今後シニア起業を検討されている方に、メッセージはありますか。

長森 私がやっていることは、身の丈に合った規模の事業。シニア起業ということで、本格的なパン屋さんと同じようにやることが正解ではないと思っています。
まだまだ“二毛作人生”の途中にありますが、経営が何とか軌道に乗ってきた要因をいくつか紹介すると、まずは、出荷先・販売先の選定(集客対策)をしっかり行うこと。そして、起業後の具体的なイメージをつかむこと。
あとは借金をせず身の丈にあった規模で展開すること、退職前から十分な準備をすることもポイントです。

シニアの生き方の一例となれたら、と長森さん

長森さんは、起業に至るまでの経緯や経験されたことをブログで紹介しています。
長森さんご自身も、起業の準備期間にモヤモヤしたり疑問に感じたことをパンづくりのプロのブログで理論的に学ぶことができたため、誰かの役に立てれば、という思いで更新をしているのだとか。ブログを読んでからパンを食べると、より一層美味しく感じますよ。ぜひ覗いてみてください。

長森さんのブログ

前日からパンを仕込み、朝3時に起床して、8時に出荷。
出荷が終わったら今度は翌日の仕込みや準備をして、夜9時に就寝。
起業してから6年間、出荷のある日は一度も休むことなく続けてきたというので驚きます。
長森さんが強調してお話しされたのは「感謝」という言葉。
起業されたことで、日々健康に仕事ができる有難さや、商品を求めてくれるお客様がいることへの感謝の気持ちが一層強くなったそうです。

パンが焼きあがる瞬間は、今でも感動するそう!

「いつまでもお客様に喜んでもらえる商品づくりがしたい」という長森さんが心を込めて作ったパンは

  • オガール内「紫波マルシェ」
  • 日詰商店街内「なんバザ・ホール」

でお買い求めいただけます。
最近は、パンに限らずパウンドケーキやスイートポテトスティック、クリームサンドクッキーなどのケーキやお菓子の展開にも力を入れているそうです。

今日はどんなパンと出会えるか、楽しみです
ハニワのような表情の
「まるごとカボチャパン」

話を聞いた人

長森克之(ナガモリカツユキ)

1956年3月27日生まれ。

千葉県出身。もり森スマイル工房 代表。

国産小麦を100%使用したしっとり、もっちりとしたパンにはファンも多い。

これからの季節は、町産リンゴを使用したパンやパウンドケーキがおすすめ。

 

記事を書いた人

冨澤有華(トミサワユウカ)

1993年6月1日生まれ。

北上市出身。小さい頃の夢は、パン屋さんになることと、17歳になること。

お気に入りのパンはクッキークリーム。

 

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