-
- Note
- 2023/6/20
- つばめのたまごvol.2
紫波のすみずみを自転車で駆けまわりたい
ただの移動手段に過ぎなかった自転車が、いつしか「自転車で」走ることに意味を持つようになっていた。
そんな一人の「好きなこと」は誰かをつなぐ架け橋になる。
そう思いながら今日も町中を自転車で駆けまわります。
こんにちは!つば森編集部の佐藤遥華です。
前回の記事から執筆を始めた編集部の新入りですが、改めてご挨拶と自己紹介をさせていただきます。
私は、岩手県立産業技術短期大学校の産業デザイン科を卒業後、今年度から紫波町役場に、「紫波町タウンプロモーション推進員」として着任しました。名前の長さがインパクトのあるこの役職ですが、仕事の内容をざっくり言うと、町の魅力を発信する広報役になります。紫波町出身で地元の活性化に興味があり、デザインの学びも活かせるのではと思い、推進員になりました。
突然ですが、みなさんの「好きなこと」は何でしょうか?
得意なこと、夢中になれること、心の癒しになることと、みなさんの日常を彩る趣味がたくさんあるかと思います。
私は、絵画や工作、ゲーム、音楽…とひそかに持っている趣味がいくつかあります。その中でも今一番熱いのが「サイクリング」です。
自転車との関わりは、中学生の頃から通学手段として毎日乗るようになったことが始まりでした。その頃は、歩くよりは速く移動できるツールという認識だけでしたが、ずっと乗っているうちに「疾走感」のとりこになっていました。
また、基本インドア人間の私にとって、希少なアウトドア趣味でもあります。
とはいっても、当時はクロスバイクのような本格的なスポーツ自転車ではなく、使い古したママチャリで好きな道を走るだけの小さな趣味でしたが、十分楽しんでいました。
足は遅い私でも、ペダルを踏むだけですいすいと進めるのが気持ちよく、地元の様々な景色を背景に風を切っていくのが好きでした。そして、よく本屋やゲームセンターなどのお店に立ち寄って遊んでいました。
そんな調子で「サイクリング」に夢中になっていた学生時代には、卒業研究のテーマに「紫波町×サイクリング」を設定するほど。趣味で終わらず、自分の「好きなこと」が何かの役に立つのではないかと、元々興味のあった地域活性化に結び付けようと考え出しました。そうして、気軽に紫波町でサイクリングをしながら、観光や町の魅力を楽しんでもらえるようなWEBサイトの制作に励みました。
今回はそういった「好きなこと」を通じて、地域の人々の暮らしをより豊かにすることについてのお話になります。
タウンプロモーションは「人とのつながり」で成り立つ
「タウンプロモーション」。一見、この聞き慣れない単語について、改めて考えてみました。
「タウンプロモーション」とは、町の価値を、様々な媒体で発信・活動することで、見る人々の気持ちを動かすこと。町の価値とはなにか? 紫波町の価値は「温かい人と人とのつながり」であるとしています。
実はこの「つばめの森」もタウンプロモーションの一環であり、町内外の人が、町の細かい出来事を、いつでも・どこでも身近にあるように知ることができるWEBサイトです。興味を持った読者がこの町の輪の中に入り、みんなで関わり合えるきっかけづくりになることを目指しています。
タウンプロモーションのために今まで続いてきた「つばめの森」や「Fan道」、SNSや広報誌での発信を引継ぎつつ、自分なりのアイデアを加え、さらに一歩踏み出すには何をしたら?何か新しいことを始めるべき?と着任直後、一人頭の中でぐるぐると考え込んでいました。
そうして、今の自分にできることってなんだろう?と考え、たどり着いたのが、「紫波チャリ部(以下、チャリ部)」を立ち上げることです。
紫波町でサイクリングをする人々の様子を発信・共有し、サイクリングの先で見た町内の景色、体験、人々の様子などを共有し、自転車でつながる人を増やせたら楽しそう。そう考えていたら、ワクワクしてきました。
たとえば私の卒業制作Webサイト「S×C×R」からであれば、この「陣ケ岡公園・蜂神社」。
神秘的で映える景色だけでなく、清涼感のある空気を感じられる癒しスポット。意外と街中から近く、自転車でたどり着きやすい自然エリアです。
もう一つは、「あらえびす記念館」からの風景。ここは少し高台になっていて、着いた先でこの夕日を見た時、ちょっとした達成感がありました。
このように、気軽に自転車を走らせるだけで日常から抜け出したような景色が見られるのが、町並みと自然が融合した紫波ならではのサイクリング体験です。
こういった何気ない発見を、色んな人々が写真に収め、体験談と共にハッシュタグ「#紫波チャリ部」をつけて投稿する。そうしたら「紫波でサイクリング、楽しそう!」と輪が広がっていくのでは、と期待しています。
「チャリ部」では、このようなSNSの活用に加え、Webサイト「S×C×R」でのサイクリングコースの追加などの更新で、より「紫波町でのサイクリング」をしてもらえるきっかけになるような発信をしていきたいと考えています。
石橋を叩いて渡るタイプの私が、チャリ部を立ち上げる理由
なぜ急に「チャリ部」を立ち上げようと考えたのか。
そのきっかけは、タウンプロモーションチームでの話し合いにありました。
当初は町の現状から、次世代に魅力を伝え引き継ぐための「若者特化」のターゲットと、町の中心部だけでなく東西の農村部にもスポットが当たるようにまんべんなく発信することを考えていました。発信内容を考えるために、調査として町内の学校にアンケートを取ることまで想定していましたが、それで町の人の本音を引きだせるかどうかは難しい、となりました。そこで、「チャリ部」を始めてみたらどうか、という案が出たのです。
意外な提案に最初は驚きました。
しかし、魅力を伝える相手は「人」であり、その人たちと関わりがなければ、リアルな現状を知ることはできない。だから人々に「自分のこと」を知ってもらい、関わり合うことでより深い現状を知り、必要な発信内容を考えることができるのでは、という話に納得しました。
石橋を叩きすぎて前に進めないことが多い自分にとって、この一押しは強力でした。誰かの行いを伝えるだけでなく、自らも行動すること。そうして実際に人と向き合うことが「タウンプロモーション」の本質だと気づかされました。
もっと紫波に関わる人々と出会い、それぞれのエピソードを知りたい、自分のことも知ってもらいたい、と強く思いました。
挑戦したい!の背中を押してくれる町
この「チャリ部」設立の経緯のように、一人では答えが出にくい問題は、周りの人に聞いてみること。何かを始めたいときに、周りの協力を得ることが重要であることは、わかっていても中々頼りづらいこともあります。
それでも、ちょっと勇気を出して話をしてみることで、共感し、協力してくれる人々が、この紫波町には多い気がします。
それが、「温かい人と人とのつながり」という「町の価値」の部分であると思います。
この温かさを伝え、この町で挑戦する人々が後に続いていくことが大切です。
将来は、紫波町が自転車が行き交う町としてにぎわうことを夢に見ています。これは、私の挑戦でもあります。
自分もそうですが、地元に長く住んでいる人ほど、行かず・知らずの魅力がこの町にもたくさんあります。先ほどの写真のように、まだ見ぬ穴場があるのかと思うとワクワク、もっと探検したい!今すぐにでも自転車で行きたい!という気持ちがあふれます。
サイクリングをすることで、新鮮な視点で町を眺めることができます。普段行かないところへちょっと遠出してみたり。車で通ると見逃してしまうようなお店を発見して、そのまますぐ入ってみたり。走りながら外の空気を吸ってみたり。ふと見上げた夕焼けが特別な景色に見えたり。そうして観察眼が養われて、価値観が変わってきたり。
いつもの紫波での何気ない日常が、少しでも豊かなものになるかもしれません。
まずはこのサイトのコースマップを参考に、ママチャリからサイクリング旅を始めてみてはいかがでしょうか。思いのままにペダルをこぎ、体を動かすのは気持ちがいいですよ。
自分の「好きなこと」は、きっとどこかの誰かのためになる。
みなさんも、ぜひ「好きなこと」を共有し、発信してみましょう。
そして、今後の「つばめの森」の更新や、これから始まる「チャリ部」の活動を、どうぞよろしくお願いします!
記事を書いた人
佐藤遥華
紫波町出身。岩手県立産業技術短期大学校を卒業後、令和5年度から紫波町タウンプロモーション推進員に着任し、つば森編集部へ加入。趣味はサイクリングやゲームなど。
在学時の卒業研究では、紫波と自転車といった好きなものを掛け合わせた観光促進サイトを制作した。
卒業研究制作サイト「S×C×R」:https://sh21410.github.io/SCR/