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- Note
- 2022/5/9
- つばめクリエイターズ vol.1
老舗写真館から飛び出した 日常を切り取るフォトグラファー
作る・表現するには色々な形がある。
じっくりと考え時間をかけて一つを作る人、
直感を働かせてあっという間に作る人。
かける思いも過程もそれぞれに違うから、
さまざまな作品が生まれていく。
つばめの巣作りもまた、つばめの性格によって
素材も仕上がりも異なるといいます。
紫波町で何かを作り、表現する人たちの
それぞれの作り方を、少し覗いてみましょう。
日常の、自然体な姿を残せる写真を撮りたい
2022年3月に紫波町で「トキオモイ」を立ち上げた佐々木さん。「トキオモイ」は
時を残そう。想いと一緒に。
ただ、一緒にいる。ただ、町を歩いている。
なんでもない日常を、愛おしく思える写真を。
というブランドメッセージのもと、大切な人との何気ない瞬間を写真に残すサービスを提供しています。紫波町内でのロケーションフォト撮影のほか、オガールや、オガールセンターにあるドライフラワー専門店「とわか」内で、 家族写真の撮影なども行っています。
佐々木さんのご実家は、60年以上歴史のある「畠山写真館」。学校行事などに同行して、卒業アルバムの制作をするのが主なお仕事でした。
しかし、趣味ではじめたロケーションフォトや日常に寄り添った自然体な家族写真を撮っていくうちに、「ロケーションフォトや家族写真の撮影を、もっと広めていきたい」という思いが芽生えたそう。そんな佐々木さんの「やりたい!」という思いが、どのように形になっていったのか取材しました。
「共感者」との出会い
佐々木 もともと、盛岡で活動されている「ひととき写」のフォトグラファー、佐藤彰洋さんのファンで。1年前に、一関の館ヶ森アーク牧場で佐藤さんの撮影会があったんです。同業者としてではなく純粋な気持ちで、「佐藤さんに撮ってもらえるチャンスだ!」と思って、お客さんとして会いに行って、家族写真を撮ってもらいました。夫は写真が苦手なんですが、佐藤さんに撮ってもらった写真はすごく笑顔で…!
佐藤 ありがとうございます。プロの人を撮るのは、とても緊張しました(笑)僕も、実家が写真館を経営していて、父も現役で撮っているので、実家が目指す方向と、自分がやりたいことが食い違うもどかしさはすごく理解できて。職業が同じというだけでなく、実家が写真館という共通点から、話が盛り上がりました。
佐々木 「歴史ある写真館」というイメージが強いのが、良さでもあるんですけど、その反面悩みもあるんです。私が撮りたい写真は、カメラ目線のびしっとした写真というよりは、もう少しナチュラルに、家族が笑い合っているような写真を撮っていきたいっていうのがあって。佐藤さんには悩み相談に乗っていただいて、すごく、支えてもらいました。
佐藤 佐々木さんは日常感を大切にしていますが、僕は、「アートと商業写真のちょうど中間」を意識して撮影しています。「アート」はカメラマンが表現したいことで、「商業写真」はお客さんのニーズに応えること。僕らって、生活がかかってるので、結構「商業写真」に寄ってしまうんですが、表現したいことを抑え込みすぎると心にもよくないので、自分がやりたいことも、お客さんがやりたいこともちょうど表現できるように、心がけています。
「背中を押してくれる人」との出会い
佐々木 自分のブランドとして「トキオモイ」を立ち上げるまでには、川村真央さんとの出会いも、とても大きかったです。
川村 僕は、面白いことや仕組みを考えることが好きで、面白いことをしようとしている地域や人を見つけて、人と人をつなげる、というのを「悪巧み」と称してやっているんです。佐々木さんをInstagramで見つけて、「とわか※や地元紫波を舞台にして撮影してみない?」と声をかけたのがきっかけでした。今考えるとめちゃくちゃ怪しいですよね(笑)
※とわか・・・オガールセンター内にあるドライフラワー専門店
佐々木 はじめは、「この人、なんだろうな~」という感じだったんですけど…(笑)でも「なんか楽しそうだな」というか、私がやりたいと思ってたことと、ちょっと似てるなと感じたんです。写真をはじめて、ちょうど10年のタイミングでもあったし。
自分が撮りたい写真を、趣味レベルではなくもっと頑張って広げていきたいな、と思っていたときに川村さんに出会って、「やってみようよ」って言ってもらえて。ぐっと背中を押してもらえました。 私は自分に自信がなかったり、消極的な部分がある性格だったんですけど、「大丈夫だよ、やってみようよ!」と言ってもらえて、勇気が出ました。それで、一歩踏み出したら、日常が目まぐるしく変化していきました。
印象に残っている撮影は?
佐々木 トキオモイの活動を始めて、撮影させてくれる方を募集したときに、InstagramからDMをくださった方がいました。
「七五三の撮影をしてあげられなかったので、写真を残したい。」
という依頼でした。出来上がったデータを送ったところ、すごく喜んで「魔法みたい」って言ってくださったんです。そのとき、「私、写真を通じてなら、魔法使いになれるのかな」と思いました。写真を残してあげられなかったというお母さんの想いを、少し払拭できたのかなと、私まで幸せな気持ちになりました。
佐藤 僕は、去年実施したお父さんの職場で子どもと撮る「#パパの職場見学」という企画が印象に残っています。自分が誇りを持っている場所で、自分の家族と写真を撮るって、あるようでなかなかない機会だと思うので、やってよかったな~と思ってます。この前、そのときに撮影した写真をSNSのアイコンにしてくれているのを発見して、すぐに「いいね!」をつけました(笑)
これからチャレンジしたいこと
佐々木 「トキオモイ」は、紫波町全体を舞台に美しい風景やお花と「大切な人」との「今」を残す、ということをコンセプトにしています。紫波町の産婦人科で生まれて、紫波町で育った私でも、まだまだ紫波の知らないところっていっぱいあるなって感じています。それを私も知りたいし、そこで出会う人たちを撮って、紫波の美しさを発信していきたいと思っています。日詰商店街も好きなので、レトロな雰囲気のなかでの撮影もしてみたいです。
佐藤 紫波町で写真が好きな人とか、カメラマンになりたいけどどうやって踏み出したらいいかわからない人とつながって、新しいチームを立ち上げたりするのも面白いのかなと思っています。今は大企業ではなく小さなチーム単位でもSNSを活用することで活動を広げられるので。
紫波町に「ZINEづくり部」ができるのを、つばめの森の記事で知りました。「好きなもの」を表現するZINEに、写真という要素が加わったら面白いんじゃないかなと思っています。僕と一緒に写真を撮ってみたい人がいたら、ぜひ一緒にやりたいです。なかなか一歩踏み出せずにいる人の背中を押すようなことをしてみたいと思っています。
また、「ひととき写」としては、2022年4月に盛岡にフォトスタジオをオープンしました。スタジオがあることで天候に左右されずに撮影できますし、自分たちのブランドイメージを伝えやすくなったので、そこでまた新しい出会いが生まれるのが楽しみです。
川村 「やりたいことがやれない人の橋渡しがしたいな」という思いはずっと一貫しています。なかでも紫波町は、面白い人が多いので特に注目しています。今かかわりのある「トキオモイ」さんをはじめ、国指定重要文化財である「日詰平井邸」さんでのイベントや企画も考えていますし…。 今後も面白い悪巧みをやっていきたいですね。
佐々木さんの「やりたい!」が伝播して、つながった3人。
あなたのなかにも、“好き”や”やりたい”の気持ちが眠っていませんか?
「つばめの森」では、これからも紫波町をフィールドにしたつながりづくりを応援していきます。
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まずはLINEで「お友達登録」をしていただけると嬉しいです。
サイトの更新情報や、サイトでは見られない細かいお話や、イベント情報などもお知らせしていきます。
話を聞いた人
・佐々木彩香(ササキアヤカ)
1993年5月17日生まれ。
紫波町出身。フォトグラファー。
日常を切り取ったような自然体な写真が人気。
Instagram:https://www.instagram.com/tokiomoi_shiwa/
・佐藤彰洋(サトウアキヒロ)
1991年2月10日生まれ。
盛岡市出身。フォトグラファー。「ひととき写」代表。
2022年4月、盛岡市にフォトスタジオをオープン。
Instagram:https://www.instagram.com/hitotokisha/
・川村真央(カワムラマオ)
1982年4月2日生まれ。
盛岡市出身。会社員。
悪巧みで人と人をつなげる「Gac+chankoラボ」という活動を展開。
Instagram:https://www.instagram.com/gadjet9/
記事を書いた人
・冨澤有華(トミサワユウカ)
1993年6月1日生まれ。
北上市出身。紫波町1年生。
人様にお見せして恥ずかしくないSNSを持つのが直近の目標。