夢見るつばめ vol.5

紫波町に「チェコ」がやってきた日

「好き!」という気持ちって、距離を超えて届くんだ。
本当に、不思議な力がある。

自分が描いていた夢が、気づけば叶ってしまう。
紫波町には、そんな不思議な力もある。

おいしそう、と思った人すみません!
チョコの話ではありません。「チェコ共和国」なのです。

つば森編集部の天野です。
私は今、紫波町で地域おこし協力隊をしております。

そして実は、紫波町に移住してくる前から、チェコ共和国という国が好きで、好きが高じて「チェコ親善アンバサダー」としても活動をしています。

私が、チェコ共和国にはまりはじめたのは、大学生の頃にみた「チェコアニメ」がきっかけでした。少しずつ人形を動かして1コマずつ撮影するコマ撮りアニメや、モーションアニメ。その手作り感あふれる雰囲気は、現代のフルCGとは異なります。

シュールさも含んだ不思議な魅力に満ちたそのアニメに引き寄せられるように、「いったいどんな国なのだろう?」「どうしてこんな作品が生まれたのだろう?」などと探っていくうちに、何度も同じ国へ通うようになってしまうまでになりました。(笑)

私は昨年、東京から紫波町へ引っ越してきたのですが、ここで生活してみて、紫波町の風景や空気が、なんだかチェコ共和国で感じたものと似ているなと思うようになりました。

そんな紫波町で、チェコアニメを上映できたらどんなにいいだろう。そんな妄想を膨らませていたとき、映画好きの有志団体・シワキネマさんとお話する機会がありました。「上映する作品は、自分たちが”観たい”と思うものを選んでいる」というシワキネマさん。さまざまな偶然が重なり、第21回の上映作品としてチェコアニメを選んでいただきました。

そして念願の、チェコアニメ映画上映会が実現したのです。

オガール・情報交流館2F・大スタジオで行われました
80名を超える方にご来場いただきました
チェコのお菓子屋・ツックルさんによる焼き菓子の販売

日詰商店街・YOKOSAWA CAMPUSのコーヒー・ドリンクの販売
関連書籍や、雑貨の販売
作品上映の合間にはトークイベント
<チェコ共和国の「作る」にまつわる旅のお話>をさせていただきました
過去に制作した、チェコ共和国にまつわる作品の展示も

また、私事ながらこのイベントは、先日自身で出版した『チェコに学ぶ「作る」の魔力』という本に関連したイベントでもありました。

紫波町図書館では、拙著『チェコに学ぶ「作る」の魔力』をはじめ
チェコ共和国への理解が深まる展示コーナーも

この国が好きだと自分で連呼しておきながら、いざチェコに特化したイベントを開催するにあたり、さすがに少し不安もありました。それは、このイベントがスタートした理由は、ひとえに、私がチェコが好きで、みなさんにもチェコアニメを見ていただきたかったから。そんな個人的すぎる視点からでいいのだろうか、果たして興味を持っていただけるのだろうか…。そんな不安もありました。

しかし、そんな不安をよそに、イベントには、町内のみならず、盛岡、矢巾、花巻、遠野など近郊の町や、より遠くから足を運んでいただいた方もたくさん。上映の合間や終了後も、「チェコに興味があるんです!」「行ってみたいんです!」「行ったことあります!」などの声がやまず。「私、チェコに留学していたんです!」という方まで現れる始末。
泣きそうなくらい私にとっては嬉しく、驚きが止まりませんでした。

「好き!」という気持ちって、距離を超えて届くんだ。
やはり本当に、不思議な力がある。

この日のイベントを支えてくれたみなさんと、紫波町の情報発信団体・しわりりのメンバーさんとともに。

「岩手は、チェコに似ている気がする」。

私が直感的に感じていることなのですが、口にしてみると、同感してくださる声や興味深く聞いてくださる方もたくさん。

この日見たチェコアニメでは、作品の中で自然や動物、虫などが、擬人化ではなく、そのものへの愛を持った視点で描かれていました。愛らしかったり、ときにちょっと憎たらしかったり。物語には、例えば森の妖精や、古びたおもちゃなど、屋根裏で暮らす住人たちなども出てきます。
人間世界の隣に、ひっそりと暮らしているのかもしれないような、不思議な存在が、アニメの中では違和感なく存在している。森の中を歩いて、森の妖精が「いる」感覚。そういう感覚が物語になり、作品になっている。それはどこか、『遠野物語』など、民話などが語られる岩手とも重なる気がしました。

「好き」という個人的な思いから派生した動きをサポートしてくださり、私の妄想を一緒に実現してくださった方、そしてそのイベントを、楽しみにきてくださった方たち。

そんな人たちがいる・集まる町に暮らしていることを、改めて嬉しく思った1日でした。

■イベント主催:シワキネマ
映画が好きな有志が集まり、不定期で映画上映を企画しています。

Facebookページ:https://www.facebook.com/shiwakinema/

■記事を書いた人:あまのさくや
紫波町とチェコ共和国が好きな、絵はんこ作家・エッセイスト。
エッセイ本『チェコに学ぶ「作る」の魔力』を20225月刊行。

チェコと岩手は似ている説を唱えている。

「移住ZINE」: https://www.instagram.com/zine_relocate/

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