つばめの森編集部だよりvol.2

「つばめの森」って何だろう?(後編)〜編集部員の涙のワケ

自分の“好き”や”やりたい”の気持ちを
通じたつながりをつくったり、
まちの暮らしに楽しみを
増やしたり見つけたりする。
そして”温かさが伝播するつながりづくり”を
目指すべく生まれた、
「つばめの森」ウェブサイト。

そのキーワードに辿り着くまでには、
さまざまな想いが背景にありました。

前編はこちらから。

支え合いで解決できることもある

高橋 私は、今の課に配属されるまでは7年ほど子育て支援を担当していました。窓口ではいろんなご家族の悩みを聞くこともあり、核家族が増えて今まで頼れていた家族に頼れず孤立する方がいたりするのを目の当たりにしました。町に転入する子育て世代は、新たに家を建てるタイミングで共働きになる方も多い中で、当時は待機児童の問題もあったり。私も子どもが2人いて、様々な悩みに触れながら、他人事ではない想いが多くありました。

「子育て」について思うことがたくさんあった高橋

伊東 行政で整えなければいけないサービスもある一方で、心や気持ちのケアは子育てに限らず、人間関係の中で解決できるものもありますよね。実際私も、友人や職場の仲間から「数時間、お子さん見ててあげるよ」「子連れで集まって、お互いに見守りながらやりたいことを一緒に叶えよう」などの言葉をかけてもらってきました。

ママひとりではできないことも、何人か集まればできるよね!という雰囲気が、この町には漂っているんです。子育て中は本当に孤独を感じやすくて、とにかく必死で、ただ時間が過ぎていきます。幸せな時間もたっぷりありますが、「誰かに頼ること」は意識できなかったり、ましてや自分のやりたいことを挑戦してみようという気持ちにはなかなかなれない中で、私は随分周りの人たちの温かさに助けられてきました。

高橋 家庭内だけではなく、町全体でより良い子育て環境を作る空気を作っていかなければいけないなと強く感じ、紫波町独自の、子育てのための13個の目標、「SPGs(エスピージーズ)」を作りました。

紫波町独自の、子育てのための13個の目標、「SPGs(エスピージーズ)」


伊東 SPGsの元となるメッセージを高橋さんが書いてくれたのですが、初めて読んだ時、私は感動で泣きました(笑)。子育てに奮闘する女性が世の中に伝えたいことは数あれど、男性側からこのようなメッセージが出てくることに、とにかく驚きました。結果的にSPGsという形になってこの世に出されましたが、高橋さんの最初の構想が素晴らしかったですね。役場での仕事を通じてたくさんの子育ての悩みの相談に応じながら、自身も子育てをしながら、高橋さんはこんな未来が来たらいいなという想いを持ってらっしゃいました。

SPGsが生まれる元となったメッセージ
それを読んで号泣した伊東

伊東 須川さんや高橋さんもそうなんですが、紫波町役場の職員さんは本当に町の未来のことを考えているな…と思います。そして本気でその未来に向かって行動しようとしている。そんな感動も相まって、涙腺の弱い私は涙が止まらなかったですね(笑)。自分のことじゃなくて、紫波町に暮らすすべての人のために、自分ができることを本気で考えている。町のためだと思ってやっていたことが、気づいたら自分のためだった。なんてことが、そこら中で起きているんだと思います。

高橋 号泣されて驚きました(笑)。13個の目標の中で、「1 パートナーと未来の話をしよう」とありますが、パートナーは必ずしも夫婦間のことだけでもなく、親だったり、身近にサポートしてくれる誰かだったり。家族の形も多様な中、大きく未来の姿が共有されていれば、すれ違いが起きてしまったり、バンッ!と大きなケンカに発展しても、なんとなく取り戻せる気がします。価値観の共有というか。

伊東 高橋さんの熱いメッセージに号泣した後、私には一体何ができるだろう…と考えた結果、「SPGsのイラストアイコンを自分で作ろう!」と思い立ちました。使ったことのないIllustratorというソフトに挑戦し、子どもたちを寝かしつけてから夜中に作業を始め、その日は徹夜で…。イラストを作るのも初めての経験でしたが、ぽちぽちと地道に一つずつ作りました。この熱い思いを伝えるためなら!と思ったら全く辛くなくて(笑)。とにかく自分でも挑戦したくなったのだと思います。

きれいごとではなく、本気で言っている。

伊東 たとえば保育施設に入れられなくても、短時間でも子どもを預けるサービスを利用して仕事をすることもできます。今は町内でも小規模保育事業所、認定こども園、ファミリーサポート、学童…と、選択肢も増えてきていますが、そもそも「相談しよう」という発想がなかったり、子育てに追われている中では情報収集まですべてやるのは大変ですよね。「13 ポジティブな言葉をかけよう」は、親子や夫婦に留まらず、子育て環境を作る周りの人間関係のすべてを指していますし、「4 SOSを発信するために」も、町に暮らすすべての方に関係のあるメッセージです。繰り返しとなりますが、きれいごとではなく、本気で言っている。そんな意思表示がSPGsなんですよね。この思想がタウンプロモーションの土台になっています。

天野 私は「SPGs」を初めて読んだ時、独身の私にはあまり関係ない話だな、と正直思っていました。でも例えば介護とか、自分ひとりで解決できない悩みがあるときにも、「SOSの発信」とか、子育て関係なく共感できるものも多いですね。家族のことにかかわらず、一人で孤立してしまう怖さや、悩みを話したり雑談できる相手がいることのありがたさも、コロナ禍を経て、そして単身で移住してきた身としてはさらに感じています。

須川 ファンベースの分析結果の中でも「支え合える関係の人が増える」ことが重要だとありましたよね。僕は編集部の中で一番長く紫波町に暮らしていますが、まだまだ出逢っていない方も多いです。まちづくりに関わっている方や事業者さんなどは広報で紹介されていたりもしますが、例えば会社員の方とか、学生さんとか、スーパーで働いている方とか…なかなか知り合いづらい方っていますよね。きっかけがあれば話せたり、実際にお会いできなくてもウェブコンテンツで共感できたり、つながれたり、その方のライフスタイルに沿ったつながりが作れたらいいですね。

天野 色々な方に取材して、「こんな人が町にいるんだ」とか「こんなことが町で起きているんだ」と知れるような場にもしたいですね。例えば先日は、役場でのインターンシップがきっかけで、日本酒の世界を知り、蔵人体験をするまでになったという大学生を取材しました。偶然的な出会いからずいぶん深いところにまで連れてこられてしまった…!という例を目の当たりにして、心底、面白いなあ、いいなあと思いました。誰かがワクワクしている姿って、見ているこっちまでワクワクしますよね。誰かの視点を紹介することで、町の見え方も変わってくるし、多様な姿を知れるのは面白いなと思います。

左から伊東、高橋、須川

自分の“好き”や”やりたい”の気持ちを通じたつながりをつくったり、
まちの暮らしに楽しみを増やしたり見つけたりする。
そして”温かさが伝播するつながりづくり”を目指すべく生まれた
「つばめの森」ウェブサイト。

これからもどうぞ、よろしくお願いします。

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つばめの森編集部

須川 翔太

1984年10月23日生まれ。紫波町出身。唎酒師公務員。

紫波町に酒コミュニティを作りたい。3児の父。

伊東 唯

1986年1月24日生まれ。秋田県能代市出身。

日本酒スペシャリスト・発酵食品ソムリエを取得。2児の母。

酒好きのカメラ友達募集中。

高橋 竜介

1988年9月8日生まれ。岩手県盛岡市出身。公務員。2児の父。

うすーく、ひろーく色んなことが好き。アイドルも好き。

天野 咲耶

1985年5月5日生まれ。東京都中野区出身。紫波町地域おこし協力隊。エッセイ本『32歳。いきなり介護がやってきた。』を刊行。

直近の夢は、紫波町にクリエイターが増えること。

 

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